秘密の部屋編 28






じっと見合うとセブルス。
セブルスがリドルを見ていなかったことにほっとしたと、にそれを無理やり言わされてしまったとセブルス。
には魔法が効かない事を知っていても、力のことを教えた覚えない。
そして魔法が使えない事も。
でも、さすがに無理やり言わされたことは分かってしまっただろう。
どうしたものかとが考えていると…


ぱたぱた……


「こっち、こっちの方から聞こえてきたんだ!」
「何言っているんだ?ハリー……別に何も聞こえなかっただろ?」

この声は……

ぱたぱたと駆ける足音と共に、曲がり角の方からハリー達が姿をあらわす。
ハリー、ロン、ハーマイオニーだ。
3人は、とセブルスを見てびくっとなり足を止める。


…?」


はハリーの方に向き

「どうだった?絶命日パーティーは?」
「…え?」
「絶命日パーティーに行ってきたんでしょ?」
「何で知ってるの?」
「何ででしょうね?」

にこっとは笑みを浮かべる。
ハリーはきょとんっとする。
しかし、ロンが何かに気づき…あ…と声をだした。
ハーマイオニーはどうしたの?と聞こうとしたが…

「君、絶命日パーティーがどんなのか知っていたんだろ?!絶対そうだ!僕らが絶命日パーティーに行くって決まってから、避けられているような気がするし!」
…貴方もしかして、あれがどんなのか知ってて私達を避けてたってことなの?!」

は苦笑する。
その通りなのだが…。

「だって、グレンジャーもウィーズリー君もすごく楽しみにしてたみたいだからね、夢壊すのは悪いと思って何も言わなかったけど」
「酷いわ!知っていたなら教えてくれたっていいじゃないの!」
「でも、貴重な体験できたでしょ?僕だって話に聞いていただけで実際どんなものかは知らないよ?」
「ええ!お陰様でとっても貴重な体験ができたわ!」

怒らせちゃったかな?
は睨んでくる3人に苦笑を返すしかない。
それでも人にできない体験をするのはいいことだと思う。

「お礼に、フレッドとジョージにが「カナリアの小屋」について聞きたがっているって言っておいてあげるわ!」
「へ?」

にやっとハーマイオニーが笑みを浮かべた。
確かに「カナリアの小屋」について知りたいとは思う。
双子が知ってるとロンから聞いてはいる。
しかし…

「え?え?それは待ってよ、グレンジャー!困るってば!」
「あら?困るの?だって知りたいんでしょう?」
「知りたいけど、だって、グレンジャーにも分かるでしょ?あの二人に借りを作ることがどんなに嫌なことか!」
「大丈夫よ、きっと悪ようにはならないわ」
「悪いようにしかならないってば!」
「細かいことを気にちゃ駄目よ。これはあくまで私がお礼に勝手にやることだから」
「……グレンジャー」

女帝だ。
ここに女帝がいる。
完全に怒って無視されるのは嫌だけど…、こういうのも困る。
本当に困る。

「そうだね、僕からもちゃんとフレッドとジョージに言っておいてあげるよ、
「……ウィーズリー君まで」

つまりは、しばらくは双子に振り回されることになるのか。
はぁ〜と諦めたように深いため息をつく
しかし、思い出して欲しい。
今はそんな会話をしている場合ではないことを…。


「ねぇ……、そんなこと言ってる場合じゃないよ」
「ハリー?どうしたんだ?」

ハリーは壁に書かれた文字と転がったままのミセス・ノリスを交互に見る。
ロンはハリーの様子におかしく思ったが、すぐに壁の文字とミセス・ノリスが目に入る。
ハーマイオニーの口から小さく悲鳴のようなものがこぼれた。

「死んで…、るの?」

ハーマイオニーの口からぽつりっとこぼれるその言葉に、びくっとなるハリーとロン。

「石化しているだけだ」

それに答えたのは意外にもセブルスだった。
びくっとしながら、ハリー達はセブルスを見る。
セブルスはを見ていた。

「マンドレイクが育てばちゃんと元に戻るから大丈夫だよ、グレンジャー」

はハーマイオニーに安心するように笑みを向ける。
石化しているだけなのだから…。
しかし、このままここにいるのは状況的にまずい。
遠くの方からざわめきが聞こえてくる。
ハロウィンパーティーが終わったようだ。

「ハリー。ここにいるのはまずいよ!」
「う、うん…」
「そうね…、変な誤解されちゃうわ」

ロンがハリーのローブをひっぱり、ハーマイオニーも少し不安そうな表情になる。

「大丈夫だよ。ポッター君、ウィーズリー君、グレンジャー。この場合、一番疑われるのは僕だからさ」
「全くだな…」
「ほら、教授もこう言ってるし」

呆れたようなセブルスの言葉には少し驚く。
この状況で、さっきの言葉ににらまれるだけかと思っていたのだが…。
まさかこんな言葉を返してくれるとは思っていなかったのだ。
がそう思っていながらも、ざわめきが近づいてくるのに気付いた。

ちいさな叫び声と驚き。
大きなざわめき。
ハロウィンパーティーを終えた生徒達が集まってくる。
生徒達は、壁に書かれた文字に視線が集まっている。
は生徒達を見回し、ジニーの姿を探すが…。


ぐぃっ


突然腕をひっぱられる。
わ…と驚き、は腕をひっぱった相手を見る。

「…マルフォイ君?」

意外な人物に再び驚く。
ドラコはを真剣に見る。

「何があったんだ?」
「何って…。たまたまこの場に居合わせただけ?」
「何で疑問形なんだ?」
「なんとなく」
……」

は首をかしげる。
ドラコが何を言いたいのか分からない。
そもそも、ドラコはこの時「穢れた血め!」とうような言葉を言うはずなのだ。

「父上が…」
「うん?ルシウスさんが?」
「いや、なんでもない」

周りに人が多すぎる。
ここで言うような内容だと判断したのか、迷った後口をつぐんだ。
そうこうしているうちに、騒ぎを聞きつけたのか先生達が駆けつけてくる。
ダンブルドア初め、マクゴナガル先生、ロックハート、フィルチの4人。


「何があったのですか!」


マクゴナガル先生が慌てたように言う。
フィルチが生徒達に寮に戻れと追い立てる。
生徒達を追い立てている途中で、ミセス・ノリスの姿に気付く。

「ミセス・ノリス!!一体何が…!」

フィルチは石化したミセス・ノリスに近づき、そっと抱き上げる。
その時、ミセス・ノリスからからん…と何かが零れ落ちた。
フィルチはそれに気付かなかった。
それは…の足元に転がり、はそれを手に取る。

「何、これ?」

それは虹色に輝く硝子の欠片の様なもの。
の隣にいるドラコはそれを見てはっとする。

、それは…」
「マルフォイ君?これが何か知ってるの?」
「…いや、知ってはいるが。何故ここに…」

言いかけようとしたドラコの言葉を遮るかのようにフィルチの怒鳴り声が響いた。

「お前か!お前だな!私のミセス・ノリスを…。お前が!」
「ぼ、僕、違います…」
「違うだと?!お前意外に誰がいる!お前は知ってるんだろう?!私が、私が…!」

フィルチがハリーを睨んで叫んでいた。
ハリーは違うと首を横に振っている。

「アーガス」

ダンブルドアがフィルチの言葉をとがめるように遮る。
さすがのフィルチもダンブルドアの言葉にではだまらざるを得ない。

「話を聞く必要があるじゃろう。アーガス、一緒に来なさい。それから、ハリー、ロン、ハーマイオニー…も来てくれるかの?」

頷く達。
ダンブルドアの言葉にロックハートが進み出る。

「校長、私の部屋が一番近いでしょうから、そこを使ってください」
「そうかね…。ありがとう、ギルデロイ」

ダンブルドアは達と先生方を促す。
ロックハートが先頭に立ち、案内するように進む。
まだ残っていた生徒達はそれを邪魔することなく道をあける。
歩き出したを一瞬止めるように、ドラコがの腕をつかみ…

、あとで話がある」
「うん?…うん、いいけど」
「寮で待ってる」
「え?ちょっと待って、それってスリザリン寮?」
「他にどこがある?」
「僕、グリフィンドールなんだけど…」
「後でスネイプ教授にでも合言葉聞けばいいだろう」
「教えてくれるわけないじゃん」
「君になら教えてくれるだろう。じゃあ、待ってるからな」

ドラコはそう言ってそのまま行ってしまった。
ルシウスさん関係だろうか?と思う。
それにしても、マルフォイ君、予想外の反応だったな。
…やばいな、話がずれてきているかもしれない。
は手の中のリドルの日記を握り締める。
まずはこれをジニーに返さなければ、未来はの知るものと違ってくる可能性が高くなってしまう。